しんきんマネーコラム

車の維持費は月々いくらかかる?内訳と平均から安くおさえる方法まで解説

家庭で車を購入する際は、購入時の費用だけではなく、月々の維持費がどのくらいかかるのかも把握しておく必要があります。

車を所有すると、税金や保険料、メンテナンス費用、ガソリン代などさまざまな維持費がかかります。実際にいくらかかるのかは、車の排気量や初度登録からの経過年数、車の使用状況などにより異なりますが、おおよその目安を知りたいという方も多いでしょう。

本記事では、車の維持費の主な内訳や月々の平均額をわかりやすく解説するとともに、負担をおさえるための6つの方法を紹介します。購入時の費用だけでなく、維持費も踏まえて車を選ぶことで、快適な生活にもつながりますのでぜひ参考にしてみてください。

月々の車の維持費の平均額

下表のように換算すると、車の維持費として毎月必要になる金額は軽自動車でおよそ2万5,000円、普通自動車でおよそ3万2,000円となります。軽自動車のほうが普通自動車よりも7,000円ほど安くおさえられる計算です。

 軽自動車普通自動車
自動車税種別割※1※2(年額)1万800円(年額)3万6,000円
自動車重量税※3(3年自家用)9,900円 (年額換算)3,300円(3年自家用)3万6,900円 (年額換算)1万2,300円
自賠責保険料(36ヵ月 )2万3,520円 (年額換算)7,840円(36ヵ月 )2万3,690円 (年額換算)7,897円
任意保険料※4(年額)4万9,886円(年額)7万2,753円
整備・メンテナンス費用(年額)約4万円(年額)約5万円
ガソリン代※5(年額)6万8,000円(年額)8万5,000円
駐車場代※6(年額)約12万円(年額)約12万円
年額合計29万9,826円38万3,950円
月額換算2万4,986円3万1,996円

※1 自動車税および軽自動車税は2025年4月1日以降に購入したものとして計算
※2 普通自動車の自動車税種別割は総排気量1.5リットル超~2リットル以下の金額を参照
※3 軽自動車の自動車重量税はエコカー外の金額を、普通自動車の自動車重量税は1~1.5トン・エコカー外の金額を参照
※4 任意保険料は「2024年度 自動車保険の概況」における「第13表 任意自動車保険 用途・車種別統計表〈2023年度〉その1」内の「軽四輪自動車・乗用車」および「自家用乗用車・普通」の契約保険料を契約台数で割った数字として平均を算出
※5 ガソリン代は年間走行距離10,000km、レギュラーガソリン価格170円/リットルとし、軽自動車の燃費を25km/リットル、普通自動車の燃費を20km/リットルとして算出
※6 駐車場代は1万円/月として算出

参照:中央区ホームページ「軽自動車税」
参照:東京都主税局「自動車税種別割|自動車と税金」
参照:国土交通省「令和5年度税制改正に伴う自動車重量税の税額の基本的な考え方」
参照国土交通省「自賠責保険・共済に加入するには」
参照:損害保険料率算出機構「2024年度_自動車保険の概況」

自動車税種別割や自動車重量税、自賠責保険料をはじめ、任意保険料や整備・メンテナンス費用、ガソリン代などが主な費用です。ほかにも、消耗品費用やロードサービス会費などが発生するケースもあるでしょう。さらに、マイカーローンを利用した場合は、維持費とあわせて返済額も準備する必要があります。 なお、月々の車の維持費は、車種や年数などさまざまな要因により金額に差が出ることに注意しましょう。

月々の車の維持費の内訳

車を維持するために必要な費用としては、主に次のものが挙げられます。

  • 税金
  • 保険料
  • 整備・メンテナンス費用
  • 走行費用
  • その他費用

それぞれの項目の詳しい内容や支払う時期などについて確認していきましょう。

税金

車の維持費としてかかる税金には、主に以下のものがあります。

  • 自動車税/軽自動車税(種別割)
  • 自動車重量税

自動車税と軽自動車税は、4月1日時点において自動車・軽自動車を所有している場合にかかる税金です。毎年納付する必要があり、一般的に5月から6月にかけて納付します。納付期日は各自治体によって異なりますので、納税通知書が届いたら必ず確認しましょう。

税額は、排気量や用途、車種、所有年数などにより異なります。自動車税は3〜10万円程度、軽自動車税は1万円前後が目安です。

自動車重量税は車の重量に応じてかかる税金で、新車を購入する際や車検時にまとめて納付するのが一般的です。税額は、車種や重量、初度登録からの経過年数によって異なり、エコカー減税の対象になっていれば支払う税金をおさえられます。

参照:東京都主税局「自動車税種別割|自動車と税金」
参照:中央区ホームページ「軽自動車税」
参照:東京都主税局「令和7年度自動車税(種別割)納税通知書は5月1日(木)に発送されます」
参照:国土交通省「令和5年度税制改正に伴う自動車重量税の税額の基本的な考え方」

保険料

車の維持にかかる保険料には、以下の2つがあります。

  • 自賠責保険料
  • 任意保険料

自賠責保険は、法律によりすべての自動車・軽自動車の加入が義務付けられている強制保険です。保険料は、新車であれば登録時に、その後は車検の際にまとめて納付するのが一般的です。

自賠責保険は、車の運転により他人にけがを負わせてしまった場合や、死亡させてしまった場合に、相手に保険金が支払われるものです。自賠責保険は、運転者自身のケガや物の損害補償は対象外となるため、そういったリスクにも備えるには任意保険に加入します。

任意保険は自賠責保険ではカバーしきれない部分を補填するためのもので、加入は任意です。自身や同乗者のけがの補償や車の補償、相手のけがや車、破損したものに対する補償が受けられます。

任意保険の保険料は、車種や車両価格、初度登録年、契約者の年齢などにより異なります。

整備・メンテナンス費用

車を維持するためには、次のような整備・メンテナンス費用も必要です。

  • 車検費用
  • 修理費用
  • 定期的なメンテナンス費用

車検費用は、初回が新車購入から3年後に、その後は2年ごとに発生します。車の点検や検査などを行い、状況に応じて部品交換や整備が必要になる場合もあります。費用はディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなど、車検を行う場所によって異なり、一般的にディーラーのほうが高額になる傾向があります。

また、故障や事故などで車体が破損した場合には修理費用もかかります。タイヤやエンジンオイルなど、消耗する部品については定期的な交換も必要です。

走行費用

走行費用に該当する車の維持費としては、以下のものが挙げられます。

  • 燃料費(ガソリン代)
  • 高速道路料金

燃料費(ガソリン代)は「燃料単価×使用量」で決まりますが、さまざまな要件によって費用に差が出ます。通勤で頻繁に車を使う場合や燃費が悪い車に乗っている場合、渋滞が多い道を走ることが多い場合などは燃料費がかかる傾向があります。

また、燃料単価は地域により差が出るケースも多いです。 また、高速道路に乗る回数が多い場合や走行距離が長い場合は、その分の費用もかかります。

その他費用

ここまで解説してきた維持費以外にも、以下のような費用がかかることがあります。

  • 車両登録・変更に伴う手続き費用
  • 駐車場代
  • 冬季タイヤの購入・交換・保管費用
  • ロードサービス会費
  • マイカーローンの返済・利息

車を購入した際や、引っ越しや名義変更をした際などに、車両登録・変更に伴う手続き費用が生じます。駐車場代は月極駐車場やコインパーキング等を利用する場合に発生し、利用するエリアによって金額が異なります。また、寒冷地に居住している場合は、積雪や路面凍結に備えて冬季タイヤ(スタッドレスタイヤ)の購入や交換、保管費用もかかるでしょう。

車の故障やトラブルで走行不可になった際に救援に駆けつけてくれるロードサービスを利用したい場合は、所定の会費を支払う必要があります。ほかにも、マイカーローンを利用して車を購入した場合は、元金の返済や利息の支払いが発生します。

月々の車の維持費をおさえる6つの方法

毎月かかる車の維持費をできるだけ安くおさえるために、車の購入時や保有中は、以下の6つの点を意識することをおすすめします。

  • 税金をおさえられる車を選ぶ
  • 任意保険を考えて車を選ぶ
  • 定期的にメンテナンスをする
  • 燃費がいい車を選ぶ
  • エコドライブを意識して運転する
  • 低金利のマイカーローンを選ぶ

それぞれの方法について、詳しく解説します。

税金をおさえられる車を選ぶ

軽自動車やコンパクトカーなど、比較的税金が安い車を選択すると維持費をおさえられます。排気量や重量が大きいほど税金の金額も高くなるためです。

これから車を購入する予定がある場合は、エコカー減税やグリーン化特例、環境性能割の対象になっている車を選択するのも1つの方法です。環境に配慮した車を選択することで、税金面だけでなく燃料費の節約にも役立ちます。

参照:国土交通省「自動車:自動車関係税制について (エコカー減税、グリーン化特例  等)」

任意保険を考えて車を選ぶ

任意保険は、同じ補償内容でも、取り扱っている保険会社や商品によって保険料が異なります。定期的な見直しや複数の保険会社の比較によって、保険料をおさえることが可能です。加入した当時のままの契約で更新せず、運転の頻度や車の状況などに応じて適切な補償内容に見直しましょう。また、車種や型式によっても保険料が異なるため、保険料を考慮して購入する車を選ぶことで維持費をおさえられます。

定期的にメンテナンスをする

日常的に車のメンテナンスや点検を適切に行うと、故障による修理代をおさえる効果が高まります。小さな不具合であっても、そのまま放置すると大きな故障につながる可能性がありますが、定期的にメンテナンスを行っておけば早期発見が可能です。

車検時にまとめて部品交換や修理を行うと一度に支払う費用が高額になりますが、点検時にも行うことで費用を平準化できます。 また、日常的にメンテナンスや点検を実施していれば、事故を未然に防ぐ効果も期待できるでしょう。

燃費がいい車を選ぶ

燃費がいい車を選ぶと燃料費をおさえられ、節約につながります。特に、通勤で車を使用するなど給油回数が多い場合は、燃費がよければ給油回数をおさえられます。

また、燃費をはじめとする環境性能が高い車は、性能が高いほど環境性能割の税率が低くなることもメリットの1つです。

参照:東京都主税局「自動車税環境性能割|自動車と税金」

エコドライブを意識して運転する

エコドライブを意識した運転を心がけることでも、維持費の節約が期待できます。

エコドライブとは、燃費を良くしてCO2排出をおさえる、地球にやさしい運転方法のことです。発進時に緩やかにアクセルを踏むことや、走行中に車間距離を保って一定速度で走行すること、無駄なアイドリングをやめることなどを心がけましょう。

エコドライブを意識すると、燃料費の節約だけでなく、自身や同乗者の安全にもつながり、事故の予防にも役立ちます。

低金利のマイカーローンを選ぶ

マイカーローンを利用する場合は、金利が低いローンを選ぶことで返済額をおさえることが可能です。同じ金額を同じ期間借り入れた場合、金利が低いローンのほうが返済総額を少なくおさえられます。

一般的に、信用金庫や銀行などの金融機関が取り扱っているマイカーローンは、ディーラーローンよりも金利が低い傾向があります。

なお、マイカーローンは借り換えが可能です。現在契約中のマイカーローンよりも低金利のローンがある場合は、借り換えによってどのくらい節約できるかをシミュレーションし、状況に応じて借り換えるのも1つの方法です。

月々の車の維持費はマイカーローンで支払える?

マイカーローンは、車を購入するときの費用だけでなく、月々の維持費にも利用できる場合があります。たとえば、車検や修理といった整備・メンテナンス費用や、購入時の税金や保険料も含めて利用できる可能性があります。

ただし、必ずしもすべての維持費に利用できるわけではありません。燃料費や駐車場代など、対象外とされる費用もあるため確認が必要です。マイカーローンで支払える具体的な費用については、あらかじめ信用金庫や銀行などの金融機関に相談することをおすすめします。

車を購入するときは月々の維持費も考慮して検討しよう

車を購入する際には、購入時にかかる費用だけではなく、月々に発生する維持費も考慮することが大切です。燃料費や駐車場代など毎月かかるものだけでなく、保険料や整備・メンテナンス費用なども、月額に換算して計画的に準備しておくのがおすすめです。

車を購入する前に維持費の目安を把握し、収入やライフスタイルに適した車を選ぶことで、無理のないカーライフを楽しめるでしょう。

執筆 木内菜穂子

金融機関や税理士事務所での勤務を経て、現在は金融・保険ライターとして執筆活動を行う。主に公的年金制度や社会保障制度、生命保険、NISAなどの情報を発信中。難しいお金の話を分かりやすく伝えることをモットーとする。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、一種外務員資格、年金アドバイザーの資格を保有。

監修 桜井鉄郎

FP兼金融・不動産ライター 東証プライム上場の金融機関で住宅ローンの相談販売を担当(相談件数:約2,000件)。最適な返済プランや返済開始後のライフプランをFPの視点で顧客に提案。マイホーム購入に関連する法令・税額控除制度等も解説。
<保有資格>FP1級、行政書士、宅地建物取引士、証券外務員1種ほか

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