最近、ニュースやネットで目にする「マイナ免許証」。運転免許証とマイナンバーカードを一体化できる仕組みとして、2025年3月から導入されました。
しかし、「切り替えると何が変わる？」「一体化は義務？」など、不安を抱えている方もいるかもしれません。この記事では、マイナ免許証の概要に加えて、メリットや注意点をわかりやすく解説します。

マイナ免許証とは

マイナ免許証とは、運転免許証の情報が記録されたマイナンバーカードです。発行するとマイナンバーカードを運転免許証として使用できるようになります。免許情報記録番号や免許種別、有効期間末日、免許の条件、備考欄、顔写真などの「特定免許情報」と呼ばれる情報がICチップに記録されます。なお、免許情報記録番号は、マイナ免許証に対して個別に付けられる番号で、いわゆる「免許証番号」とは異なります。

これらの「特定免許情報」は、マイナンバーカードの表面・裏面には表示されませんが、マイナポータルや専用の読み取りアプリで確認できます。

運転免許証とマイナンバーカードを一体化するマイナ免許証の制度は、2025年3月24日に全国でスタートしました。マイナ免許証の作成は任意であり、運転免許証の持ち方は、以下の3つから選ぶことができます。

・運転免許証のみ
従来どおり、運転免許証のみを保有する方法
・マイナ免許証のみ
マイナンバーカードを運転免許証として利用し、現在お持ちの運転免許証を返納する方法
・マイナ免許証と運転免許証の2枚持ち
マイナンバーカードを運転免許証として利用したうえで、現在お持ちの運転免許証も引き続き保有する方法

それぞれ手続きにかかる費用や利便性などが異なるため、概要を理解したうえで自身に合った方法を選びましょう。

マイナ免許証に変更するメリット

マイナ免許証の4つのメリットを紹介します。

運転免許更新講習をオンライン受講できる

「優良運転者」「一般運転者」に該当する方は、運転免許更新時の講習をスマートフォンやパソコンで好きな時間にオンラインで受講できます。

ただし、受講にあたってはマイナンバーカードの署名用電子証明書を運転免許センターや警察署などに提出のうえ、マイナポータルとの連携が必須です。また、受講後には視力検査などの適性検査も必要になるため、更新期間内に運転免許試験場や運転免許更新センター、警察署などに足を運びましょう。

ワンストップサービスを利用できる

「マイナ免許証のみ」を保有する場合は、運転免許センターや警察署などへ署名用電子証明書を提出することで住所・氏名などの変更手続きがワンストップ化され、市区町村への届け出のみで手続きを済ませられます。また、マイナポータルとの連携が前提ですが、本籍のオンライン変更も可能になります。

手数料を抑えられる場合もある

「マイナ免許証のみ」の保有には、各種手数料を抑えられるメリットもあります。以下の表は、運転免許の更新時と新規取得時の手数料を比較したものです。

保有状況	免許更新手数料（更新時）	免許交付手数料（新規取得時）
運転免許証のみ	2,850円	2,350円
マイナ免許証のみ	2,100円	1,550円
マイナ免許証と運転免許証の2枚持ち	2,950円	2,450円

※上記は2025年10月28日時点の金額です。

いずれの手数料も、マイナ免許証のみが最も安くなります。

他県での更新手続きがスムーズになる

「優良運転者」「一般運転者」に該当する方が、住所のある都道府県以外の窓口で免許更新をする「経由地更新」の際も、マイナ免許証が便利です。

マイナ免許証のみの保有では、更新可能期間が「更新期間初日から誕生日まで」の1ヵ月間から、「更新期間初日から免許証等の有効期間の末日まで」の2ヵ月に延長され、更新手続きも即日で完了します。ただしマイナ免許証と運転免許証の2枚持ちの場合、運転免許証の交付に従来と同じ日数がかかるため、後日交付を受けることになります。

使用・変更にあたっての注意点

マイナ免許証の使用にあたって注意すべき点を解説します。

海外では従来の免許証が必要な場合がある

渡航先によっては、国外運転免許証（国際運転免許証）の申請時に従来の免許証を提出が必要になることがあります。そのため、海外への移住や転勤、旅行などの可能性がある場合は、「2枚持ち」または「運転免許証のみ」がおすすめです。

スマホ搭載のマイナンバーカードは免許証扱いできない

スマートフォンのマイナンバーカードは、運転免許証として使用できません。実際の運転中には、運転免許証もしくはマイナ免許証の携帯が必要です。
いずれの免許証も携帯していない場合は、「運転免許証不携帯」として罰則が科せられます。また、運転免許にかかわる各種申請でも、実物のマイナンバーカードが必要です。

一部サービスは登録・利用ができない

マイナ免許証（マイナンバーカード）の特定免許情報はICチップに記録され、カードの表面・裏面には表示されません。そのため、免許情報の提示が必要になる際は注意が必要です。
各施設のマイナ免許証対応状況を確認し、データを読み取る機器がない施設を利用する方は、当面の間は「2枚持ち」にすることを検討しましょう。なお、特定免許情報は警察に署名用電子証明書を提出して連携させたマイナポータルにアクセスするか、「マイナ免許証読み取りアプリ」にマイナ免許証をかざすと確認できます。

マイナンバーカードとマイナ免許証の有効期限が異なる

マイナ免許証に一体化しても、マイナンバーカードと運転免許証の有効期限は異なります。通常の免許証と同じように、マイナ免許証が「期限切れ」の状態では運転はできません。
一方、マイナンバーカードや署名用電子証明書の有効期限が切れている場合は、住所変更などのワンストップサービスを受けられなくなります。免許が有効なら運転は可能ですが、気づいた時点でマイナンバーカードの更新手続きを行いましょう。

マイナンバーカードや電子証明書、運転免許証の有効期限は以下のとおりです。

＜マイナンバーカード＞

• 有効期限：カード発行から10回目の誕生日まで（発行時に18歳未満の場合は5回目の誕生日まで）
• 更新手続き可能期間：有効期限の3ヵ月前から

＜電子証明書＞

• 有効期限：電子証明書の発行から5回目の誕生日まで
• 更新手続き可能期間：有効期限の3ヵ月前から

＜運転免許証＞

• 有効期限：5年間（新規取得者や違反運転者は3年間）
• 更新手続き可能期間：有効期限直前の誕生日の1ヵ月前から1ヵ月後まで

再発行に時間がかかる

マイナ免許証を紛失すると、再発行に時間がかかることに注意しましょう。再発行をする際には、まず市区町村でマイナンバーカードの再交付申請を行います。交付後に免許センターなどに赴き、免許情報の記録を受けなくてはなりません。
従来の運転免許証と同じように、なくさないための管理を徹底しましょう。

まとめ

マイナ免許証は、免許証とマイナンバーカードの一体化により、各種手続きを効率化できるものです。ただし、従来の免許証が必要になる場合があるなど、注意したいポイントもいくつかあります。

自身の状況を踏まえて、「運転免許証のみ」「マイナ免許証のみ」「マイナ免許証と運転免許証の2枚持ち」から最適な保有スタイルを選んでみてください。