家計の中で大きな比重を占める教育費。教育費の支払いに不安を感じている人にとって教育ローンは頼りになる存在です。なぜなら教育費の負担を軽減し、お子さんの進学資金や在学資金をサポートしてくれるからです。
そこで今回は教育費に関する気になるデータから教育ローンの基本事項とメリット・デメリット、そして教育ローンの賢い使い方までわかりやすく解説します。
目次
教育費はいくら必要?幼稚園から大学までの教育費データ
子どもの教育費はいくら必要なのでしょうか。
まだ子どもが小さい時点では、将来的に必要となる教育費の総額が明確に把握できていないケースも少なくありません。
子ども1人の教育費の目安は約1,000万円と一般的によく言われます。この1,000万円という金額は幼稚園入園から小学校、中学校、高校・大学卒業までの19年間にわたる教育費の総額です。
ただし、これは幼稚園から大学まで全て国公立に進学した場合の目安金額です。一部または全て私立に進学したケースでは、総額は大きく膨らむことになります。もし幼稚園から大学まで全て私立を選択した場合、教育費の総目安金額は2,000万円以上にもなります。
なお、子どもの教育費については、「子どもの教育費は平均どのくらい?年代別の費用や補助制度などをわかりやすく解説します」の記事で、年代別に詳しく解説していますので、気になる方は確認してみてください。
教育ローンとは?証書貸付タイプとカードローンタイプ
教育ローンは子どもの学費や在学費用を借り入れできるローンで、原則親がローン名義人となり、返済も親が行います。教育ローンは、使い道が限定されていないカードローンやフリーローンと比べると低金利であることも特徴です。
また、教育ローンには、国が運営する日本政策金融公庫の「国の教育ローン」と、信用金庫や銀行など民間金融機関の教育ローンの2種類があります。国の教育ローンは民間金融機関の教育ローンと比べて、やや金利が低いことが特徴ですが、世帯年収の制限等もあり、だれでも利用できるわけではありません。
一方、信用金庫や銀行など民間金融機関の教育ローンは、世帯年収の制限はなく、金融機関所定の条件を満たしていれば申込が可能であり、教育に関連するさまざまな資金使途で利用できる利便性の高さがあります。
金融機関の教育ローンは次のような資金使途で利用ができます。なお、金融機関によって対象となる資金使途は異なります。また、原則として支払先への振り込みが求められます。
・入学一時金(入学金、教科書代、制服代、寄付金等)、授業料など
・入学時および在学期間中における子どもの下宿やアパートの入居時の敷金、礼金、引越し費用
・受験のために支払った受験料、交通費、宿泊費
(実際に入学する学校、滑り止めの学校とも教育ローンの対象となる場合もあります。)
・上記資金で、申込日(仮審査申込を含む)の直近3ヵ月以内に支払い済みの費用
(領収書等の確認書類が必要となります。)
・仕送り資金
(月額家賃(寮費)、水道光熱費、通学定期代等の学生生活に必要な資金)
・上記を資金使途とする他の金融機関等の教育ローンの借換資金
(借入残高が確認できるローン返済予定表等が必要です。)
また、信用金庫や銀行など金融機関の教育ローンには証書貸付タイプとカードローンタイプの2種類があります。それぞれのタイプにはどのような特徴があるのか見ていきましょう。
証書貸付タイプ
契約時に決まった金額を一括で借り入れ、期限内に毎月分割して返済する借入方法です。
金融機関によっては卒業までを元金据え置き期間とし、利息分だけを支払い、卒業後に元金とその利息を支払うことで、返済負担を軽減できる場合があります。
●メリット
・借入時に毎月の返済額が決まるので返済計画が立てやすい(固定金利の場合)
・一般的にカードローンタイプより金利が低め
●デメリット
・借り入れた後に追加融資が必要な場合、再度申込み(審査)が必要
証書貸付タイプは次のような人におすすめです。
・必要な資金が決まっている人
「入学金と授業料だけが必要」「学費と通学定期代を借りたい」という必要資金がはっきり決まっている人はまとめて借りることにより、返済計画が立てやすくなります。
・毎月定額で返済したい人
一括で借り入れるため、追加借り入れは発生しません。したがって毎月の返済額は一定になります。
・返済期間中の保障が欲しい人
信用金庫や銀行などの金融機関では教育ローンの証書貸付タイプ金利を上乗せすることで団体信用生命保険の付保が可能なところもあります。団体信用生命保険とはローン契約者がローン返済中に死亡や所定の高度障害などで返済できなくなったとき、生命保険会社がローン残高相当の保険金を金融機関に支払い、ローンを完済する保険です。
・他社の教育ローンを切り替えたい人
他社の教育ローン金利が借り入れを検討している教育ローン金利より高い場合、前者の教育ローンの借換えに利用できます。
カードローンタイプ
契約時に定められた借入限度額内であれば、発行されたカードで金融機関やコンビニのATMから必要なときに何度でも繰り返し借り入れが可能です。発行されたカードで返済もできます。
多くのカードローンタイプでは、卒業後に証書貸付タイプに切替して返済していく方法を取っています。
●メリット
・借入限度額以内であれば必要なときに必要なだけ借り入れできる
・金利は借入額にだけ発生するため、実際の借入金が借入限度額よりも少ないときは、返済総額を抑えられる。
●デメリット
・子どもが卒業した時点で最終的な借入額と返済期間が決まるため、在学中は返済計画を立てにくい。
・多くの場合、カードタイプの限度額は、証貸タイプの限度額よりも小さい。
カードローンタイプは次のような人におすすめです。
・必要な資金が決まっていない人
・教育にかかる急な出費に備えたい人
必要額が明確でなく、少額の借入を繰り返しそうなときはカードローンタイプがおすすめです。
教育ローンの賢い使い方2選
証書貸付タイプ
必要な金額を一括して借入し、毎月一定の金額(元金+利息)を返済するため、入学金や授業料等、必要金額が決まっている方にオススメです。
また、団体信用生命保険付きの教育ローンなら、ローン契約者に万が一の事態があったとしても、残された家族が返済を心配することはありません。契約者に万が一の事態があった際には、教育ローンの返済がなくなるため、残された家族の生活を守ることができます。条件は金融機関によって異なりますので、保険の有無や金利などを比較のうえ検討してみてはいかがでしょうか。
カードローンタイプ
カードローンタイプの場合、借入残高が発生していない期間は利息がかかりません。急な出費に備えてカードローンタイプを契約しておき、最低限必要な金額を必要な時に使うという活用方法もよいでしょう。
また利用した際は借入したままにせず、可能な時に返済をすることで金利負担を軽減することができます。 例)入学金支払いに50万円を使い、給料やボーナスの余裕資金から返済していく。とにかくできる限り「借りっぱなしにしない」ことが重要です。
まとめ
教育資金で借入必要額がいくらになるか確定していないときはカードローン形式で、必要額が決まっているときは証書貸付形式を選択するといった考え方が定説ではあります。そのうえで団体信用生命保険が付いているものを選択するかどうかなどを考え、家庭事情に一番合ったものを選ぶようにしましょう。