しんきんマネーコラム
住宅ローンの平均はいくら?借入金額や返済期間・返済額について徹底解説

住宅ローンの平均はいくら? 借入金額や返済期間・返済額について徹底解説

「住宅ローンはみんなどれくらい借りているのだろう」と気になったことはありませんか。住宅ローンの借入金額、返済期間、年間返済額の平均は、住宅の種別によって異なります。

本記事では、住宅ローンを有する世帯の割合や住宅ローンを借りる際の注意点について解説します。借入金額や自己資金(頭金)、返済期間、年間返済額の平均についてもあわせて見ていきますので、住宅ローンを検討する際はぜひ参考にしてください。

住宅ローンを有する世帯の割合

住宅ローンを有する世帯の割合は、住宅の種別によって異なります。

土地を別途自分で用意しなければいけない「注文住宅」は、土地代が含まれる「分譲戸建住宅(建売住宅)」よりも住宅ローンを有する世帯の割合が高いです。「中古住宅」は新築と比べ、住宅ローンを有する世帯の割合も低い傾向があります。

【住宅ローンを有する世帯の割合】

住宅の種別割合
注文住宅74.8%
分譲戸建住宅61.6%
分譲集合住宅54.8%
中古戸建住宅46.5%
中古集合住宅38.8%

参照:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」

住宅ローンの平均はどのくらい?

では、住宅ローンを有する方は平均でどれくらいの金額を借りているのでしょうか。ここでは、以下の平均について解説します。

  • 借入金額
  • 自己資金(頭金)
  • 返済期間
  • 年間返済額・返済負担率

住宅ローンを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

住宅ローンの借入金額の平均

住宅ローンの借入金額の平均は、新築住宅では2,500万〜4,000万円前後、中古住宅では1,500万円前後です。

【住宅ローンの借入金額の平均】

住宅の種別住宅ローンの借入金額の平均
注文住宅(※)4,126万円
分譲戸建住宅2,985万円
分譲集合住宅2,437万円
中古戸建住宅1,573万円
中古集合住宅1,456万円

※土地を購入した新築世帯が対象。土地購入費を含む。
参照:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」

注文住宅は分譲住宅よりも、延床面積・敷地面積ともに広いことが多く、表面的な価格だけで比較はできませんが、住宅性能を高めたり、オプションを追加したりするケースが多いため、分譲住宅よりも費用が高くなり、借入金額も大きくなる傾向があるようです。

住宅ローンの自己資金・自己資金比率の平均

住宅ローンの自己資金(頭金)や自己資金比率の平均は、下表のとおりです。

【住宅ローンの自己資金・自己資金比率の平均】

住宅の種別住宅購入資金の平均住宅ローンの借入金額自己資金(頭金)自己資金比率
注文住宅(※)5,811万円4,126万円1,685万円29.0%
分譲戸建住宅4,290万円2,985万円1,305万円30.4%
分譲集合住宅4,716万円2,437万円2,279万円48.3%
中古戸建住宅2,983万円1,573万円1,410万円47.3%
中古集合住宅2,793万円1,456万円1,338万円47.9%

※土地を購入した新築世帯が対象。土地購入費を含む。
参照:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」

自己資金比率とは、住宅購入価格のうち自己資金が占める割合のことです。
自己資金(頭金)が同程度の金額でも、住宅購入価格が安い中古住宅では自己資金比率が高くなります。住宅ローンの負担を抑えたいなら、価格の安い中古住宅を検討してみるのも良いでしょう。

住宅ローンの返済期間の平均

住宅ローンの返済期間の平均は、新築一戸建てなら32〜35年前後、新築マンションや中古住宅なら26〜30年前後です。

【住宅ローンの返済期間の平均】

住宅の種別住宅ローンの返済期間の平均
注文住宅(建築)32.7年
注文住宅(土地)34.4年
分譲戸建住宅29.7年
分譲集合住宅28.0年
中古戸建住宅26.2年
中古集合住宅29.0年

参照:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」

住宅ローンの返済期間は、毎月の返済可能額などを考慮して決めるため、住宅購入価格が高いほど長い傾向があります。
なお、住宅ローンの返済期間を考えるうえでは、世帯主の年齢も考慮しておく必要があります。各住宅の世帯主の平均年齢は下表のとおりです。

【世帯主の年齢】

住宅の種別世帯主の平均年齢
注文住宅44.8歳
分譲戸建住宅38.2歳
分譲集合住宅43.0歳
中古戸建住宅46.7歳
中古集合住宅46.7歳

参照:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」

返済期間の平均と世帯主の平均年齢を照らし合わせていくと、住宅ローンを利用する場合は定年退職後もローンが残っている可能性が高いといえます。そのため、まとまった退職金が見込めない方は、ローンの返済も考慮した老後の資金計画を立てる必要があるでしょう。

住宅ローンの年間返済額・返済負担率の平均

住宅ローンの年間返済額と返済負担率の平均は、下表のとおりです。

【住宅ローンの年間返済額・返済負担率の平均】

住宅の種別年間返済額返済負担率
注文住宅155万2,000円19.4%
分譲戸建住宅125万円17.6%
分譲集合住宅123万6,000円15.5%
中古戸建住宅108万3,000円16.1%
中古集合住宅110万6,000円15.7%

参照:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」

返済負担率とは、世帯年収に占める年間返済額の割合です。返済負担率が低いほど無理のない返済となり、高いほどローン返済額の負担が重くなります。

住宅ローンの借入金額を決める際のポイント

住宅ローンの借入金額を決める際のポイントは以下の2点です。

  • 自己資金(頭金)の額
  • 月々の返済額

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

自己資金(頭金)の額

一般的に、住宅ローンの借入金額は自己資金(頭金)の額によって変わってきます。
購入希望の物件に対し、自己資金をどのくらい用意できるかにより、借入金額は変わってきます。そのため、自己資金が多いほど住宅ローンの返済は楽になりますが、預貯金をすべて頭金にあててしまうと、急な出費の際に現金がない、という状況になりかねません。ある程度の預貯金は残しておいたほうがよいでしょう。

月々の返済額

月々の返済額は、家族の生活費を鑑みて無理なく返済できる金額に設定しましょう。
年収に対するローン返済額の割合(返済負担率)が小さいほうが、余裕のある返済がしやすくなります。
返済負担率があまりにも高い場合は、住宅の予算を見直す、頭金を増やすなどの対応が必要になります。

住宅ローンを借りる際の注意点

住宅ローンを借りる際に注意すべきポイントは以下の4点です。

  • 金利タイプの選択
  • ライフイベントの考慮
  • 各種コストの把握
  • 保障や利用者限定ローンの確認

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

金利タイプの選択

住宅ローンの金利タイプは、変動金利、固定金利期間選択型、固定金利の3つです。

変動金利の場合、金融情勢の変化などで一般的に年2回金利が見直しされます。金利が低いときはローンの返済額が少ないというメリットがあるものの、金利が上がると返済額が増えてしまいます。

金利が上がったときも返済額を増やしたくないのであれば、固定金利を選びましょう。固定金利を選択すれば、借入期間中の金利は変わりません。

固定金利期間選択型は、固定金利と変動金利の中間のような金利タイプです。一定期間の金利が固定され、期間満了後は固定金利または変動金利を選択できます。

目先の金利が低いのは変動金利ですが、将来的な金利上昇の可能性も考えて、固定金利期間選択型や固定金利も検討しましょう。

一般財団法人住宅金融普及協会によると、2024年8月時点の金利タイプによる金利の違いは以下のとおりです。

【金利タイプによる住宅ローン金利の違い(2024年8月)※】

金利タイプ最低金利最高金利
変動金利0.179%5.172%
固定金利期間選択型(1年)0.75%3.1%
固定金利期間選択型(2年)0.28%3.89%
固定金利期間選択型(3年)0.35%4.09%
固定金利期間選択型(5年)0.51%4.65%
固定金利期間選択型(10年)0.7%4.95%
20年固定1.195%6.08%
35年固定1.2%6.295%

※2024年8月時点の情報となり、最新の情報とは異なる場合がございます
参照:一般財団法人 住宅金融普及協会「住宅ローンを知りたい|住宅ローンの金利情報」

ライフイベントの考慮

住宅ローンを借りる際は、将来のライフイベントにかかる出費を考慮しましょう。例えば子どもが大学まで進学すると、1人1,000万円を超える教育費がかかることも少なくありません。

住宅ローン完済前に定年を迎える方も多いため、そういったケースでは退職や再就職に伴う収入の減少なども視野に入れなければなりません。 将来の収入や支出を見通したうえで、発生しやすいライフイベントについても考慮しながら、余裕のある計画を立てましょう。

各種コストの把握

住宅ローンを借りる際は、住宅取得に伴って発生する可能性がある以下のようなコストも把握しておきましょう。

  • 登記費用
  • 事務手数料
  • 仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 固定資産税・都市計画税
  • 引越し費用
  • 家具購入費用
  • 修繕積立金(修繕費)

一戸建てには修繕積立金はないため、設備の故障などがあればその都度補修や取替などの費用が発生します。また、設備の故障がない場合でも10〜15年に1回程度は壁の塗り替えが必要です。あくまでも目安ですが、30坪の戸建住宅の場合、壁の塗り替えには60万円~100万円程度かかります。

固定資産税・都市計画税など、毎年かかる費用もあります。住宅ローンの返済だけでギリギリの生活にならないように注意しましょう。

保障や利用者限定ローンの確認

住宅ローンのなかには、団体信用生命保険や疾病保障が付いているケースがあります。

団体信用生命保険とは、住宅ローンを完済する前に契約者が死亡もしくは所定の高度障害になった際に、生命保険会社がローン残高相当分の保険金を金融機関に支払う保険です。この保険金により住宅ローンが完済されます。もし契約者が亡くなってしまった場合でも、ローンの負担がなくなるため、すぐに家を手放さずに済みます。

疾病保障のある住宅ローンでは、あらかじめ定められた疾病を起因として、就業不能などの所定の状態が認められた際に住宅ローンの残高が0円になる場合もあります。万が一のことがあったとしても家族の暮らしが守られるよう、検討しておくと良いでしょう。ただし、対象となる疾病の範囲や支払いの対象となる状態は各種ローンによっても異なるので、契約時に必ず保障の範囲を確認しておきましょう。

住宅ローンを組んだ方だけが利用できるローンがある金融機関もあり、車のローンやフリーローン等をまとめて、返済の負担を軽くすることができます。他のローンも検討している方は、このような特典の有無で金融機関を選ぶのもおすすめです。

住宅ローン減税とは

住宅ローン減税とは、要件を満たした住宅を取得した場合に、毎年年末の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税(一部、翌年の住民税)から控除できる制度です。中古住宅の場合は最大10年間控除できます。

新築住宅は省エネ基準を満たす住宅に限られますが、中古住宅は省エネ基準を満たしていない住宅でも住宅ローン減税が受けられます。住宅ローン減税の制度利用率(受ける予定も含め)は高く、新築では80%以上、中古でも約70%の世帯が利用しています。

【住宅ローン減税を受けた世帯の割合】

住宅の種別割合
注文住宅90.5%
分譲戸建住宅87.3%
分譲集合住宅87.5%
中古戸建住宅66.9%
中古集合住宅74.1%

参照:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」

住宅の種類や世帯の属性によって制度が適用される借入限度額が異なるので、住宅ローンを利用する前に必ず確認しましょう。

住宅ローンを借りる際は将来のライフイベントを踏まえて検討しよう

住宅ローンは、借入金額が大きくなりやすいローンになります。今後のライフイベントや退職後の収入減少なども考慮しながら、余裕を持った返済計画を立てるようにしましょう。

無理な借り入れを避けるためにも、年収や毎月の返済可能額はもちろん、年齢や将来のライフイベントなど、幅広い視野をもって借入金額を検討する必要があります。 住宅ローンの借り入れは、自分自身の将来設計と合わせた検討・選択が大切です。不安や疑問がある場合は、信用金庫などの金融機関の担当者に相談のうえ、十分な検討を行いましょう。

執筆 北川真大

明治大学法学部卒業後、証券会社に入社し、個人営業に従事。証券営業の経験をもとに金融系の記事執筆やKindle出版を開始し、現在はフリーライターとして活動中。日本株、投資信託、暗号資産、不動産を保有する個人投資家でもあり、日本株の投資歴は累計7年以上に及ぶ。

監修 桜井鉄郎

FP兼金融・不動産ライター。プライム上場の金融機関に勤務、主に住宅ローンの相談販売を担当。顧客に対し最適資金計画を提案、マイホーム購入に関連する法令・税額控除制度等について説明。
<資格>1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、宅地建物取引士、証券外務員1種、ビジネス実務法務検定2級

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