しんきんマネーコラム
キャンピングカー(バンコン)の維持費はいくら?メリット・デメリットも紹介

キャンピングカー(バンコン)の維持費はいくら?メリット・デメリットも紹介

リビングやギャレー(キッチン)、ベッドなどを備え、自分たちだけの空間を持ち運べるキャンピングカー。誰にも気兼ねなく、自由度の高いアウトドア体験ができるとあって、近年人気が高まっています。
今回は、キャンピングカーの中でもとくに支持されている「バンコン」にクローズアップ。気になる維持費のほか、保有のメリット・デメリットや、どんな方におすすめかなどについて深掘りしていきます。

バンコンとは?

キャンピングカーとひと口に言っても、その種類はさまざまです。例えば、専用のシャシー(車台)をもとに一からボディをつくる「フルコン」や、マイクロバスなどをベースにした「バスコン」。それに、エンジンの上に運転席があるキャブオーバー型トラックがベースの「キャブコン」、軽バン・軽トラックベースの「軽キャンピングカー」などがあります。

今回取り上げるのは、ワンボックスバンをベースにした「バンコン」。トヨタ「ハイエース」、日産「NV350キャラバン」といった車両にベッドやギャレーなどを設置したタイプです。多くのユーザーから支持を集めており、全国のキャンピングカー専門店で購入できます。新車の場合、400~700万円程度で販売されているものが多く、中古車なら300万円を切る価格で取引されているバンコンもあります。

一般社団法人日本RV協会がまとめた「日本RV協会 年次報告書2023」によると、2023年のキャンピングカー販売総額は、新車・中古車を合わせて1,054億円余りで、過去最高となりました。また、キャンピングカーの保有台数は155,000台と、こちらも過去最高を記録しています。コロナ禍を経て、制限のない自由な旅を満喫できるキャンピングカーの人気が高まっています。

参考:一般社団法人日本RV協会「2023年キャンピングカー販売総額が過去最高の1,054億円超え!~成長を続けるキャンピングカー業界の一部データを開示~

バンコン(キャンピングカー)を使うメリットとデメリットとは?

バンコンのメリットのひとつは、旅に行かない時でもバンとして「普段使い」ができることでしょう。キャブコンなどとくらべて車両が比較的コンパクトなので、広い駐車場を用意する必要もありません。また、走行性能や取り回しもふつうのバンと変わらないため、運転のしやすさも利点と言えます。

さらに、特種用途自動車である「8ナンバー」の登録が可能なことも、バンコンのメリットです。法律が定める構造要件を満たす就寝設備・水道設備・炊事設備・調理台を備えた車両であれば8ナンバーとなり、自動車税や自動車重量税の面で優遇されます。

一方で、居住空間が限られているというデメリットもあります。車高が低く、車内では身をかがめる必要があるため、室内が狭いと感じられるかもしれません。また、鋼鉄製のバンコンの車体は熱伝導率が高いため、外気温の影響を受けやすくなります。夏の暑さや冬の寒さが気になる場合は、断熱処理を施した車両を選びましょう。
また、8ナンバー登録を行った場合、自賠責保険料がやや高くなり、任意保険料も高額になる可能性があります。

バンコンはこんな人におすすめ!

コンパクトで使いやすいバンコンは、「比較的少ない人数でアウトドアを楽しみたい」「短期間での車中泊を満喫したい」という方におすすめです。夫婦2人旅などにぴったりの就寝定員2名のバンコンのほか、友人同士や親子連れでの旅行に適した就寝定員3~5人の広々としたタイプもあるので、用途に合わせて選びましょう。

また「キャンピングカーとしてだけでなく、日常的に乗用車として使いたい」という方にも、バンコンがおすすめです。普段使いのクルマとは別にキャンピングカーを持つのは金銭的な負担が大きくなりますが、バンコンなら両方の機能を持たせることができます。 一方、「大人数・長期間の旅をしたい」「居住性にこだわりたい」という方には、キャブコンやバスコンなど、広い居住空間を備えたキャンピングカーが適しています。

バンコンの維持費はいくら?

さまざまなメリットがあるバンコンですが、購入費用とは別に、維持費がどのくらいかかるのか気になりますよね。

ここでは、ハイエースバン(DX GLパッケージ・5ドア・ガソリン車・排気量2,000cc)をベースにした、車両重量1.7t、車両総重量2.8t、燃費約10km/Lのバンコンを保有すると仮定し、8ナンバーの特殊用途自動車として登録、年間5,000km程度走行することを前提として、下記のように1年間あたりの維持費を算出しました。

【ハイエースバンの1年間あたりの維持費】

税金43,900円
保険料96,010円
車検費用18,315円
メンテナンス費用32,500円
駐車場料金120,000円
その他費用168,540円
合計479,265円

「普通乗用車とあまり変わらないな」と感じた方も多いのではないでしょうか。次のパートでは、バンコンの維持費の内訳について詳しく見ていきます。

バンコンの維持費の内訳

1年間にかかるバンコンの維持費の目安として、479,265円という金額を示しましたが、その内訳はどうなっているのでしょうか。「税金」「保険料」「車検費用」「メンテナンス費用」「駐車場料金」「その他費用」に分けて解説します。

税金

・自動車税
バンコンにかかる税金のうち、年に1回必ず課税されるのが自動車税です。8ナンバーの特殊用途自動車として登録されている場合、年額で31,600円(排気量 2,000cc)となります。これは、3ナンバーの普通乗用車の36,000円よりも1割強安い金額です。

・自動車重量税
車検を通すときに課税される自動車重量税は、8ナンバー登録のバンコンなら2年分で24,600円(車両総重量3t未満)です。3ナンバーの32,800円(車両重量2t未満)の75%にあたる金額です。

保険料

・自賠責保険
保険料のうち、必ず加入しなければならないのが自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)です。8ナンバー登録のバンコンは「特殊用途自動車(三輪以上)」に分類され、保険料は24ヵ月あたり19,980円(沖縄・離島を除く)となります。3ナンバーの17,650円よりも1割強、高めに設定されています。

・任意保険
任意保険については、8ナンバー登録の車両を扱っている保険会社は限られており、保険料も3ナンバーの場合よりも高くなる傾向にあります。
キャンピングカー専門保険代理店が公表している保険料モデルケース(2025年1月現在)によると、バンコンで車両保険(一般補償)つきの場合、保険料は年間86,020円です。ただ、年齢や走行距離、等級によって金額は大きく変わるため、まずは保険会社に見積もりを取ることをおすすめします。

車検費用

2年ごとにかかる車検費用については、8ナンバーのバンコンであっても、3ナンバーの場合と大きな違いはありません。 前述の自賠責保険・自動車重量税などからなる法定費用のほかに、検査場に支払う車検料がかかります。大手車検専門チェーンが設定している車検料は、最大36,630円(2025年1月現在)です。ただし、検査場によって料金は異なり、修理が必要な場合などは高額になる可能性があります。

メンテナンス費用

オイルやバッテリー、タイヤの交換など、日々のメンテナンスにも一定の費用がかかります。頻度や業者によって異なりますが、オイル交換(5,000円)を年2回、バッテリー交換(20,000円)を2年に1回、タイヤ交換(50,000円)を4年に1回行う場合、年間32,500円となります。

駐車場料金

持ち家に駐車場を備えている方などを除き、駐車場料金もバンコンを保有するにあたって必要な費用のひとつです。バンコンの場合、普通乗用車に対応できるスペースがあれば、問題なく駐車できます。

料金は地域や物件によって大きく異なりますが、仮に月額10,000円とした場合、年間で120,000円となります。

その他費用

ここまで挙げた費用の他に、燃料費についても考えておきましょう。燃料価格を180円/L、燃費を10㎞/L、年間走行距離を5,000kmとした場合、年間90,000円がかかる計算になります。

旅行で高速道路・有料道路を利用する際の通行料については、バンコンならナンバーに関係なく普通車料金が適用されます。例えば、東京ICと梅田IC(大阪)の間を往復した場合、26,180円(通常料金)。1年で3回同じルートを走行すると、年間78,540円となります。

まとめ

ここまで、キャンピングカーの人気車種・バンコンについて見てきました。比較的コンパクトで運転がしやすく、普段使いもできるバンコンは、少人数・短期間の気ままなアウトドアの旅にもってこいといえます。8ナンバー登録で税金が抑えられるのも嬉しいポイントです。
維持費については、保険料の面でやや不利な点があるものの、全体で見ると普通乗用車に比べて大きく変わらないことがわかりました。
ただ、やはりクルマは大きな買い物ですよね。バンコンの購入を考えている方は、マイカーローンを賢く利用することも検討してみましょう。
購入時以外の税金や駐車場料金など、利用できない使途もありますが、車検費用やパーツ購入・取付を含むメンテナンス費用、自動車保険料など、維持費への活用が可能です。マイカーローンのことなら、お近くの信用金庫に相談してください。

執筆 佐藤史親

1987年、山梨県富士吉田市出身。明治大学文学部卒業後、タウン紙記者、スポーツ雑誌編集者などを経て、フリーランスの編集者・ライターに。きめ細かな取材とリサーチをモットーに、読みやすく、理解が深まる記事を多様なジャンルで制作している。

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