しんきんマネーコラム
信用金庫の住宅ローンのメリット・デメリットを徹底解説

信用金庫の住宅ローンのメリット・デメリットを徹底解説

信用金庫の住宅ローンは、地域密着型ならではのサポート体制がメリットとしてある一方で、非対面の手続きに制限があり、特徴を理解していないと不便に思うこともあるでしょう。本記事では、信用金庫の住宅ローンのメリットやデメリット、住宅ローン比較時のポイントなどを解説します。

住宅ローンが組める金融機関

住宅ローンは、信用金庫をはじめ、メガバンク、地方銀行、ネット銀行、労働金庫、JAといったさまざまな金融機関で利用できます。住宅ローンは複数の金融機関で申込みが可能です。金融機関によってサービスや特徴は異なりますので、それぞれの金融機関を比較して、選択することをおすすめします。その中でも、「対面でじっくり相談したい」「地域の実情を踏まえた提案を受けたい」という場合は、信用金庫が適しているでしょう。

信用金庫とは

信用金庫は、地域の住民や中小企業の発展を目的とした地域密着型の協同組織の金融機関です。株式会社である銀行とは異なり、営利を第一の目的とせず、地元で暮らす方の利益や地域社会への貢献を重視しています。
営業エリアは特定の地域に限定されており、集めた資金は原則として地域内に還元される仕組みです。全国47都道府県すべてに信用金庫があり、7,000店舗を超えるネットワークを形成しているため、お住まいの地域にも信用金庫がある可能性が高いでしょう。利用対象者は営業エリア内に住んでいる方や働いている方、事業所を有する方などに限定されているため、地域の中小企業や個人事業主などを中心に地域の方と長期的な信頼関係を築き、きめ細やかな金融サービスを提供しています。

信用金庫で住宅ローンを組むメリット

ここでは、信用金庫で住宅ローンを組むメリットを解説します。

相談・サポート体制が手厚い

メリットのひとつは、相談のしやすさとサポート体制の手厚さです。地域密着型の信用金庫は、利用者一人ひとりと距離が近く、住宅ローンに関する疑問や不安を相談しやすい環境が整っています。
担当者がつく場合が多く、契約前の説明から契約後のアフターフォローまで丁寧に対応してくれます。特に、住宅ローンに詳しくない方や金融知識に自信がない方にとっては、手続きや専門用語についてわかりやすく説明してもらえるのは心強いポイントです。

地域の事情に詳しく柔軟な提案がある

限られたエリアで営業する信用金庫は、地域の特徴や不動産事情、住宅に関する補助制度に精通しています。そのため、地域の実情に合った柔軟な提案を期待できます。
また、担当者と長期的な関係を築きやすく、密なコミュニケーションが取れるのも信用金庫の強みです。住宅ローンの相談に留まらず、家計の見直しやライフプランの設計など、今後の資金活用に関する悩みにも対応してくれます。
さらに、法人代表者であれば、経営の相談に乗ってもらえることもあるでしょう。こうした地域に根ざした提案力と細やかなサポート体制は、地元で住宅購入を検討している方にとって大きな安心材料になります。

金利の優遇が受けられる可能性がある

信用金庫では、以下のような条件を満たすことで住宅ローンの金利が優遇されるケースがあります。

  • 給与振込または年金振込口座への指定
  • 公共料金の引き落としを口座に設定
  • 他のローンの契約
  • クレジットカードの契約
  • 定期預金の利用

住宅ローンを利用する際に金利優遇を受けられれば、総返済額を抑えることが可能です。例えば、3,000万円を35年ローン(元利均等)で借りた場合、金利1.5%と1.0%では、総返済額に約300万円の差が生じます。 このように、信用金庫の住宅ローンでは、日常的な取引内容が金利に反映される仕組みがあります。ただし、金利優遇の引き下げ幅や適用条件は信用金庫によって異なるため、契約前に詳細を確認しておくことが大切です。

信用金庫で住宅ローンを組む際の注意点・デメリット

信用金庫の住宅ローンにはさまざまなメリットがある一方で、利用にあたって注意点も存在します。ここでは、信用金庫の住宅ローンを利用する際のデメリットを整理し、対処法もあわせて解説します。利用前に注意点を把握し、自身の状況に信用金庫が合っているかどうかの判断にお役立てください。

営業エリアに制限がある

信用金庫は営業エリアが定められており、原則としてその地域に関わりのある方のみが利用できます。そのため、ある信用金庫の住宅ローンが魅力的でも、以下のような会員資格を満たしていない場合は、基本的に利用できません。

  • 営業エリアに住んでいる、または営業エリアへ引っ越し予定の方
  • 営業エリアに勤務している方
  • 営業エリアに事務所を構えている方およびその役員の方

このような制限があるため、希望する信用金庫の住宅ローンを利用できるかどうか、事前に営業エリアと会員資格を確認しておく必要があります。

また、700万円を超える融資の場合、会員になる必要があります。まずは全国に7,000以上の店舗を展開する信用金庫の中から、お近くの店舗を探してみましょう。
⇒信用金庫の店舗検索はこちら

非対面で手続きが完結できない

多くの信用金庫では、住宅ローンの申込みから契約までの手続きにおいて、対面でのやり取りや店舗への来店が必要になることが一般的です。

審査をオンラインで受け付けている信用金庫もありますが、本申込みや契約書類の提出、重要事項の説明などは、店舗での対面手続きが求められることが多いです。そのため、平日に時間が取りにくい方や、信用金庫の店舗が遠方にある方にとっては、こうした対面中心の手続きがデメリットになる可能性があります。

ただし、一部の信用金庫では土曜日や日曜日も営業しており、平日に来店することが難しい方でも手続きを進めることが可能です。また、信用金庫によっては、電話やZoomを活用したオンライン相談を実施しています。本申込みでは来店が必要になりますが、それまでの手続きをオンラインでおこなうことで、住宅ローン契約時の負担を軽減できるでしょう。

住宅ローンを比較する際のポイント

住宅ローンを選ぶ際、金利に着目する方が多いのではないでしょうか。低金利の住宅ローンを選ぶことで総返済額を抑えられますが、そのほかにも将来の返済計画やライフプランを踏まえた総合的な比較が欠かせません。住宅ローンを選ぶ際は、金利の低さに加えて以下のポイントを比較した方がいいでしょう。

・金利タイプ(固定・変動)の比較
固定金利は、全期間固定型であれば完済まで金利が変動しない安心感があり、返済計画が立てやすいというメリットがあります。一方、変動金利は比較的金利が低いことが魅力ですが、将来的な金利上昇リスクがあり、返済額が増加する可能性も考慮しなければなりません。金利情勢の予測は困難であるため、どちらの金利タイプが有利かは断言できません。それぞれのメリット・デメリット、家計状況、リスク許容度などを比較検討し、最適な金利タイプを選びましょう。

・諸費用(融資手数料・保証料など)の比較
融資手数料や保証料などの諸費用が高額だと、低金利でも総返済額が大きくなってしまう可能性があるため、諸費用の比較も重要です。各金融機関の諸費用を比較して総返済額への影響を把握しましょう。
※保証料とは、保証会社に対して支払うお金であり、金融機関から借り入れをするときに保証会社が保証人となることで信用力を高め、借り入れを円滑・容易にします。

・繰り上げ返済のしやすさと手数料の比較
繰り上げ返済の条件も金融機関によって異なります。繰り上げ返済のしやすさや手数料の有無を比較することで、将来的な返済総額が変わってきます。特にまとまった資金ができた時のために、繰り上げ返済の条件比較は重要です。

・団体信用生命保険(団信)の内容や保障範囲の比較
団体信用生命保険(団信)は、ローン返済中に契約者が死亡や高度障害など、万が一のことがあった場合に信用金庫に保険金が支払われ、住宅ローンの残債に充当するという重要な保険です。保障内容や範囲は金融機関によって異なるため、がんや三大疾病への対応など、自身のライフスタイルに合った保障内容を比較検討し、家族の生活を守るための備えを万全にしましょう。団体信用生命保険(団信)についてより詳しく知りたい方は「団信ってなに?仕組みや種類をくわしく解説」もご覧ください。

まとめ

信用金庫の住宅ローンは、地域密着型の強みを活かした手厚いサポートや、柔軟な対応が魅力です。一方で、利用できる信用金庫に制限がある、手続きが非対面で完結しにくいといった面もあります。特に、忙しくて平日の来店が難しい方や、近くに信用金庫がない方は注意が必要です。

こうした点を踏まえると、地域密着のサービスを重視する方や、対面でのサポートや手厚いアフターフォローを望む方には、信用金庫の住宅ローンがおすすめです。不安を相談しながら一つひとつ解消できる環境が整っているため、初めてローンを組む方でも、安心してマイホームの購入を進められるでしょう。

執筆 宮崎千聖

FPライター。神戸大学経済学部卒業後、銀行の融資課にてローンの相談・手続きを担当した。退職後はライターとして、カードローンやクレジットカード、資産運用、債務整理など幅広いジャンルで執筆している。2級FP技能士、証券外務員一種

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