しんきんマネーコラム
車の購入は現金一括払いとローンのどっちがいい?メリット・デメリットを比較

車の購入は現金一括払いとローンのどっちがいい? メリット・デメリットを比較

車を買うときに、「現金一括払いとローンのどちらが良いのだろうか」と疑問に思ったことはないでしょうか。現金一括払いとローンには、それぞれメリットやデメリットがあります。

本記事では、現金一括払いとローンのどちらを選ぶ方が多いのか、それぞれの支払方法が向いている方の特徴について解説します。ご自身に合った支払方法がどちらなのかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

車の購入は現金一括払いとローンどちらが多い?

車の購入は、ローンよりも現金一括払いのほうが多いです。日本自動車工業会の「2023年度乗用車市場動向調査」によると、全体の58%が現金一括払いで、35%がローンもしくはクレジットで新車を購入しています。

【直近2年以内に購入した新車の購入方法】

 現金一括払いローン・クレジットリース・サブスクリプション
全体58%35%7%
男性  ~29歳25%57%19%
30~39歳66%31%3%
40~49歳53%46%
50~59歳48%38%14%
60~69歳51%41%8%
70歳以上76%20%4%
女性~29歳43%57%
30~39歳69%24%7%
40~49歳43%51%6%
50~59歳64%22%13%
60~69歳67%30%4%
70歳以上76%19%5%

※グラフ内の構成比は四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。また、構成比が1%未満のものは表示を省略しています。
参照:一般社団法人 日本自動車工業会「2023年度乗用車市場動向調査」

ただし年代によって差があり、20代はローンで新車を購入した方の割合は50%以上です。住宅ローンや教育費の負担が重い40代も、ほかの年代と比べるとローンの比率が高く、家計に余裕がない年代を中心としてローンで車が購入されていることが見てとれます。また、男女間の差で見ると、50~59歳および60~69歳の女性で現金一括払いを選択している方の割合が、同年代の男性に比べてとくに高いことがわかります。

現金一括払いかローンかの選択には、性別や年代によって差があります。現金一括払いとローンのどちらを選択するかを検討するには、それぞれのメリットとデメリットについて把握しておく必要があります。

車を現金一括払いで購入するメリット

車を現金一括払いで購入する場合、以下のようなメリットがあります。

  • 余分な金利負担が発生しない
  • 車の所有者が自分名義になる

ここでは、車を現金一括払いで購入するメリットを詳しく解説します。

余分な金利負担が発生しない

現金一括払いで購入すればローンの金利負担が発生しません。ローンと比べて支払総額をおさえることができます。
たとえば、車両本体価格が300万円の車を購入する場合を考えてみましょう。現金一括払いの場合と返済期間5年、年率3.0%のローンを利用する場合を比べると、現金一括払いの方が支払総額は20万円以上安くなります。

【現金一括払いとローンの支払総額の比較】

 現金一括払いマイカーローン
車両本体価格300万円300万円
金利なし3.0%(年率)
支払総額300万円323万4,360円

※税金などの諸費用を除く

車の所有者が自分名義になる

現金一括払いでは、車の所有者は購入者本人です。所有者が自分であれば、新しい車に乗り換えたいときに、いつでも自由に売却できます。一方でローンを利用する際にディーラーローンを選択すると、所有者はディーラーまたは信販会社になるため、車を買い替えたい、手放したいといった際には、所有者の名義変更が必要となります。

【車は現金で買うな?】車を現金一括払いで購入するデメリット

現金一括払いは、ディーラーローンと比べて値引きされにくい傾向があるともいわれます。ディーラーローンを利用した場合、ディーラーには信販会社から手数料が入りますが、現金一括払いでは手数料収入がなくなるためです。

また、現金一括払いには、以下のようなデメリットがあります。

  • まとまった資金が必要
  • 予算によっては車の選択肢が限られる

ここでは、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

まとまった資金が必要

現金一括払いで車を買うためには、まとまった現金が必要となります。自分が欲しい車種を購入できない可能性があります。
現金一括払いには100万円単位の資金が必要であり、仮に用意できたとしても手元の現金は大きく減ります。手元現金が少なくなることで、将来的に何らかの理由で急な出費が発生した際に、困ってしまうことがあるかもしれません。 車の購入は人生における大きな買い物の一つであり、重要なライフイベントです。ライフプランを見据えた計画的な資金準備が欠かせないでしょう。

予算によっては車の選択肢が限られる

現金一括払いでは、手持ち現金以上の金額を車の購入に充てることができないため、価格帯によっては車種やオプションなどの選択肢が限られてしまうこともあります。
同じ車でも、グレードによって本体価格に100万円以上の差がある車種もあり、現金一括払いにこだわると希望どおりの車を購入できない可能性もあるでしょう。

現金一括払いでの車の購入は嫌がられる?

現金一括払いでの車の購入は、ローンの手数料が入らないためディーラー側に嫌がられる、という意見があります。現金一括払いに消極的なディーラーの営業担当者から、「ローンを組んでいただければ、車のオプションをサービスします」と提案を受ける事例は珍しくありません。ディーラーにとってローンの手数料は大きな収入源の一つでもあり、できればディーラーローンを組んで車を購入してほしい、というのが本音でしょう。

車をローンで購入するメリット

車をローンで購入する場合、以下のようなメリットがあります。

  • まとまった現金がなくても車を持てる
  • 急な出費に備えられる
  • 妥協せずに車を選べる

ここでは、それぞれのメリットについて解説します。

まとまった現金がなくても車を持てる

通勤や送迎、日常の買い物など、普段の生活において車がないと困ることもあるでしょう。しかし、車が必要なタイミングで100万円単位の現金をすぐに用意して購入することは決して簡単ではありません。そのようなときには、ローンを利用することでまとまった現金がなくても車を持てます。

急な出費に備えられる

ローンで車を購入できれば、現金をあまり使わず急な出費にも備えられます。たとえば、手持ちの現金が300万円あるという場合でも、300万円の車を現金一括払いで購入すれば、その時点で貯蓄がゼロになってしまいます。
ローンなら手持ちの現金を大きく減らさずに車を購入できるため、急な出費が発生した際も安心です。

妥協せずに車を選べる

ローンで車を購入できれば、現金一括払いでは予算の制約で手が届かなかった車種を選ぶこともできるでしょう。グレードによって本体価格に100万円以上の差がある車種もあるため、現金一括払いでは妥協してグレードを下げる方も珍しくありません。
ローンであれば、ある程度、価格やグレードなどを気にせずに、内装やオプションも希望に近づけることができます。

車をローンで購入するデメリット

一方で、車をローンで購入する場合は以下のようなデメリットもあります。

  • 金利がかかるため支払総額が高くなる
  • ローンによっては所有者が自分名義にならないことがある
  • 審査に通過する必要がある

ここでは、車をローンで購入するデメリットについて解説します。

金利がかかるため支払総額が高くなる

ローンには金利がかかるため、現金一括払いよりも支払総額が高くなります。
金融機関やディーラーによって金利水準は異なり、信用金庫・銀行のマイカーローンでは1〜4%程度、ディーラーローンでは4〜8%程度です。いずれにしても、現金一括払いと比べると、金利負担の分だけ支払総額が高くなります。

ローンの種類もさまざまなので、ローンを組む必要がある方は、ディーラーローンよりも金利が低い信用金庫・銀行のマイカーローンを検討するのも良いでしょう。

ローンによっては所有者が自分名義にならないことがある

信用金庫・銀行のローンを使って購入した車の所有者は自分名義になりますが、ディーラーローンで車を買うと、所有者はディーラーまたは信販会社になります。 ディーラーローンでは、ローン完済後であっても所有者名義が自動で切り替わることはありません。車をすぐに売却したい場合は、ローンの完済証明書と車検証を用意して「所有権留保の解除申請」を行う必要があります。

審査に通過する必要がある

ローンで車を購入するには、審査に通過する必要があります。
過去にクレジットカードやローンの支払い遅延、債務整理などをした方は、信用情報機関にその情報が一定期間記録され、ローン審査に通過するのは難しくなります。

現在の収入から考えて明らかに過大な金額のローン申し込みも、返済能力が疑われるため審査に落ちる原因となるでしょう。ローンを検討している方は、ご自身の毎月の収入で返済可能かどうか判断してから申し込みましょう。

車の購入は現金一括払いかローンか、自分に合った選択をしよう

車を購入する際は、現金一括払いかローンか、自分に合った賢い選択をしましょう。現金一括払いでの車の購入が向いている方の特徴と、ローンでの車の購入が向いている人の特徴は、それぞれ下記の通りです。

現金一括払いでの車の購入が向いている人の特徴ローンでの車の購入が向いている人の特徴
・現在の貯蓄に余裕がある
・自分名義の車を所有したい
・急な出費に備えて現金を多めに確保したい
・購入したい車にこだわりがある

自分の手元にある現金を計画的に使いたい場合や、車種やグレードなどで妥協したくないけれど、手元資金に余裕がないという方はマイカーローンがおすすめです。

信用金庫・銀行のマイカーローンであれば、所有者は購入者本人になるため、ローン返済中の売却手続きも容易で、ディーラーローンより金利が低いというメリットもあります。手持ちの現金は少ないけれどあこがれの車に乗りたいという方は、信用金庫・銀行のマイカーローンを検討してみましょう。

執筆 北川真大

明治大学法学部卒業後、証券会社に入社し、個人営業に従事。証券営業の経験をもとに金融系の記事執筆やKindle出版を開始し、現在はフリーライターとして活動中。日本株、投資信託、暗号資産、不動産を保有する個人投資家でもあり、日本株の投資歴は累計7年以上に及ぶ。

監修 水野崇

水野総合FP事務所代表。東京理科大学理学部卒業。個別相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演などを年間600件。テレビ朝日「グッド!モーニング」、BSテレ東「マネーのまなび」新NISA講座に出演。学校法人専門学校東京ビジネス・アカデミー非常勤講師。
<資格>1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士 等
【URL】https://mizunotakashi.com/

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