しんきんマネーコラム

車検費用にローンは使える!審査基準や費用をおさえる方法も解説

車の所有にはさまざまな維持費がかかります。なかでも車検にはまとまった金額が必要になるため、出費に悩む方は多いでしょう。車検費用を一度に支払うことが困難な場合は、ローンを活用する選択肢もあります。

本記事では、車検費用の支払いに利用できるローンの種類や注意点、車検費用をおさえるためのポイントなどを解説します。ぜひ参考にしてください。

車検費用の内訳と相場

車検費用は大きく以下の2つに分けられます。

  • 法定費用:自動車重量税、自賠責保険料、印紙代
  • 車検基本料:検査費用、車検代行手数料など

法定費用は国や関係機関に支払うもので、車種や車両重量によって金額が決まっているため、どの業者に依頼しても金額は変わりません。一方で車検基本料は、車検業者によって金額が異なります。車検時には法定費用と車検基本料のほかにも、整備費用や部品交換費用が別途発生する場合があります。

軽自動車および普通自動車の車検費用の相場は、以下のとおりです。

  金額(軽自動車)金額(普通自動車)
法定費用自動車重量税※1(2年自家用)6,600円(2年自家用)2万4,600円
自賠責保険料(24カ月)1万7,540円(24カ月)1万7,650円
印紙代※22,200円2,300円
車検基本料の目安1万5,000~6万円1万5,000~10万円

※1 軽自動車の自動車重量税はエコカー外・13年未満車の金額を、普通自動車の自動車重量税は1~1.5トン・エコカー外・13年未満車の金額を参照
※2 印紙代は、軽自動車・普通自動車共に、継続検査・持込検査の場合の金額を参照
参照:国土交通省「令和5年度税制改正に伴う自動車重量税の税額の基本的な考え方」
参照:国土交通省「自賠責保険・共済に加入するには」
参照:自動車検査登録総合ポータルサイト「車検手続きのデジタル化のお知らせ」

車検費用はローンで支払える

車検を受ける際は、まとまった金額が必要です。費用の支払い方法は車検業者によってさまざまですが、ローンが利用できる場合があります。

ただし、ローンの利用には審査があるため、申込めば必ず利用できるとは限りません。後述しますが、法定費用は現金払いが基本となる点にも注意が必要です。車検を申込む際に、ローンが利用できるか確認しておきましょう。

車検に使える主なローンの種類

ローンの種類によって金利や審査の難易度は異なります。それぞれのローンのメリット・デメリットをよく理解したうえで申込むことが大切です。

車検に使える主なローンは以下の3つです。

  • 金融機関のマイカーローン
  • 信販会社のローン
  • 自社ローン

それぞれの特徴について、詳しく解説します。

金融機関のマイカーローン

信用金庫や銀行などの金融機関が提供するマイカーローンのメリットは、金利が比較的低いことです。金融機関によって異なりますが、目安となる金利は0.9〜3.5%です。

一方で、金融機関ではしっかりと審査するため、一定の基準に満たない場合は借りられないこともあります。

信販会社のローン

信販会社のローンは審査スピードが早いことがメリットです。ローンの審査に時間がとれない方にとっては、利用するメリットがあるでしょう。

一方で、金融機関のマイカーローンと比較すると金利が高い傾向があります。返済の負担が重くなることを理解したうえで利用しましょう。

自社ローン

自社ローンとは、自動車販売店が金融機関を通さず、独自に分割払いを提供する仕組みのことです。自社ローンの主な特徴として、販売店が独自に審査基準を決めていること、「金利ゼロ」とされるケースが多いことなどが挙げられます。

一方で、対応可能な店舗が限られており、別途手数料などが上乗せされることもあります。結果として、支払い総額がほかのローンより高くなることもあるため、注意が必要です。申込みの際は、契約内容や費用の内訳を細かく確認しましょう。

車検に使えるローンの審査基準は?

ローンを申込むと、返済能力を見極めるために審査が行われます。審査基準は金融機関によってさまざまですが、一般的には主に以下のような情報が確認されます。

  • 収入が安定しているか
  • 他社での借入状況
  • 返済の遅れはないか

それぞれについて、詳しく解説します。

収入が安定しているか

収入の安定性は大切なポイントの1つです。一般的な会社員の場合、勤続年数や年齢などをもとに、返済能力や収入の安定性を踏まえて、ローンの返済が問題なくできるかどうかが判断されます。

他社での借入状況

他社で借りているローンの借入状況も考慮されます。収入に対して他社での借入件数や金額が多いと、返済が困難になる可能性が高いと判断されることがあります。事前に借入状況を整理し、既存の借入れと新規の借入れの金額をあわせて返済計画を立てましょう。

返済の遅れはないか

クレジットカードやローンの返済に遅れがあると、ローンの審査においてはマイナスの要素となってしまいます。過去に延滞や債務整理などが発生していると審査に通過しにくくなるおそれがあるため、注意しましょう。自分の信用情報を確認したい場合は、信用情報機関に開示請求することも可能です。

車検費用をローンで支払うときの3つの注意点

車検費用を一括で支払うことが難しい場合、ローンは便利な選択肢の1つとなりますが、利用にあたっては注意点もあります。車検費用にローンを利用する際の主な注意点は、以下の3つです。

  • 法定費用は基本的に現金一括払い
  • 審査に時間がかかる場合がある
  • 利息の負担が発生する

それぞれの注意点について、詳しく解説します。

法定費用は基本的に現金一括払い

車検費用の中で、法定費用(自動車重量税、自賠責保険料、印紙代)については、ローンやクレジットカードに対応していないケースが多いため、注意が必要です。ローンやクレジットカードで支払えるのは車検基本料に限られる可能性があるため、法定費用分の支払いについては、事前に現金を用意しておく必要があります。

審査に時間がかかる場合がある

ローンの審査に時間がかかる場合もあるため、注意が必要です。ローンの審査では収入や現在の借入状況などを細かくチェックするため、数日の時間を要する場合があります。 車検の有効期限を過ぎてしまうと罰則の対象となってしまうため、ローンを利用する場合は早めに手続きすることが大切です。

利息の負担が発生する

ローンを申込む際は、必ず金利を確認しましょう。利用するローンによって金利は異なるため、複数のローンを比較しながら検討することが大切です。

金利が低いローンを選び、返済期間を短くすることで総返済額をおさえられます。申込み前にシミュレーションを行い、毎月の返済額や利息を含めた総返済額を把握することが大切です。

車検費用を安くおさえるための4つのポイント

車検費用は大きな出費となるため、負担に感じる方は多いでしょう。ポイントを知っておくことで、費用をおさえられます。

車検費用を安くおさえるためのポイントは、以下の4つです。

  • 複数の業者から相見積もりを取る
  • 車検以外のメンテナンスもこまめに行う
  • 不必要な検査項目を減らす
  • ユーザー車検を検討する

それぞれについて、詳しく解説します。

複数の業者から相見積もりを取る

車検の基本料金や整備費用は業者によって異なります。複数の業者から見積もりを取って比較することが大切です。

基本料金や整備費用は、ディーラー(主に自動車メーカーと契約を結んでいる販売店)か車検専門店かによっても差が出ます。たとえば、ディーラーの車検は純正部品が充実しており、高品質な整備が期待できます。特定のメーカーに特化した担当者が整備するため、安心して任せられるでしょう。ただし、費用はその分高めになる傾向があります。

一方、車検専門店を利用するメリットは、料金が比較的安いことです。独自の仕入れルートを確保しており、汎用性の高い部品を使用することで低コストを実現しています。一方で、整備範囲がディーラーに比べて限定される傾向にあり、純正部品の指定ができないケースがある点には注意が必要です。

車検以外のメンテナンスもこまめに行う

こまめなメンテナンスは、車検費用をおさえることにつながります。メンテナンスによって部品の寿命が長くなり、車検の際に交換しなければならない部品が少なくなります。

自分で手軽にできるメンテナンスとしては、ワイパーのゴム交換やウォッシャー液の補充、タイヤの空気圧のチェックなどがあります。さらに、定期的なエンジンオイルの交換やバッテリーの点検も重要です。これらのメンテナンスを日ごろからしっかり行うことで、大きな故障や事故を未然に防ぐことにもつながります。

不必要な検査項目を減らす

車検の見積もり金額の中には、必須の検査項目に加えて、故障予防を目的とした任意の部品交換や追加整備が含まれている場合があります。これらは実施しなくても車検に通るため、必要に応じて省くよう交渉すれば、車検費用をおさえられるでしょう。

ただし、安全性に関わる部品まで交換を先延ばしにすると故障や事故につながる可能性があるため、整備担当者と相談しながら、本当に必要かどうかを見極めることが大切です。

ユーザー車検を検討する

ユーザー車検とは、車の所有者が自ら運輸支局や軽自動車検査協会に車を持っていき、車検を受ける方法です。ユーザー車検では、車検業者に依頼する場合に発生する車検基本料などの費用が不要なため、車検費用を節約できます。 ただし、税金や手数料の支払い手続き、各種書類の作成などを自身で行わなければならず、時間と手間がかかります。また、車の状態を自分で確認して整備しなければならないため、車に関する専門知識が必要です。

車検にローンを利用したいときは金融機関や車検業者に相談しよう

車検にかかる費用や車検に使えるローンの種類、審査基準、利用する際の注意点などについて解説しました。法定費用はどの業者に依頼しても同じ金額ですが、車検基本料や整備費用の金額は業者によって異なるため、複数の業者を比較して検討することが大切です。

車検費用を一括で用意できない場合、ローンの利用も検討してみましょう。ただし、利息の負担が発生することや、法定費用は現金で用意する必要があることに注意が必要です。金融機関や車検業者に事前に相談し、無理のない返済計画を立てたうえで利用しましょう。

また、信用金庫のマイカーローンでは、車の購入や車検費用だけでなく、修理費用やパーツ費用など、さまざまな使いみちで利用できる場合もあります。気になる方は、お近くの信用金庫のホームページなどで確認してみてください。

執筆 尾関久子

監修 水野崇

CFP/1級FP技能士。東京理科大学卒業。中学、高校、大学、専門学校で金融経済教育を行うほか、テレビ朝日、BSテレ東、TOKYO MXの番組に出演。NHKドラマ「3000万」家計監修。「水野総合FP事務所」代表として、相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など幅広く活動している。
【URL】https://mizunotakashi.com/

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