個人事業主・フリーランスは住宅ローンを借りられる!ポイントを解説

読むのにかかる時間: 7

個人事業主・フリーランスといった自営業者は、会社員や公務員と比べて住宅ローンの審査に通りにくいという話を聞いたことはないでしょうか。実際にローンを検討中の方の中には、不安を感じてしまう方もいるかもしれません。

自営業者が住宅ローンを組むことは可能です。本記事では、自営業者が住宅ローンを借りにくいといわれる理由や、審査で確認されること、借りるためのポイントなどを解説していきます。

自営業者が住宅ローンを借りることは可能ですが、「会社員や公務員と比べると審査に通過しにくい」といわれることがあります。その理由として挙げられるのは、主に以下の2つです。

  • 収入の安定性が低いとみなされやすい
  • 所得の金額が審査される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自営業者は健康状態や取引先との関係などで収入が変動しやすいため、安定した収入が得られにくいとみなされる場合があります。住宅ローンにおいて、「安定した収入があるかどうか」は大切なポイントの1つです。

会社員や公務員は、毎月決まった給与が支給されます。しかし、自営業者は企業のような安定した基盤がなく、将来にわたり安定した収入があるかどうかを客観的に証明することが難しいとされています。このような背景により、「自営業者は住宅ローンを借りにくい」といわれていると考えられます。

会社員や公務員は一般的に年収といわれる総支給額を基準に審査されるのに対し、自営業者は収入から必要経費などを差し引いた所得金額で審査されます。たとえば、自営業者の場合、収入が800万円で必要経費が400万円であれば所得は400万円になります。

自営業者の中には、経費を多く計上し所得を抑え、節税する方もいます。節税上は有効な手段とされていますが、所得金額が低くなり、住宅ローンを借りる際には不利になると考えられています。

自営業者の住宅ローンの審査では、主に以下の点が確認されます。

  • 所得が連続で黒字となっているか(期間は金融機関によって異なる)
  • 税金や保険料の未納がないか

自営業者の場合、安定した収入があるかを確認するため、過去数年の所得が黒字となっているかどうかを見られることが多くあります。そのため、必要書類として近年の確定申告書(青色申告を推奨)や納税証明書の提出が必要になるのが一般的です。金融機関によって異なりますが、多くの場合は、2~3期分の黒字実績が必要とされるでしょう。

また、税金や保険料の未納がないかも審査で見られるポイントの1つです。自営業者の場合、会社員などとは異なり自身で納付する必要があるため、納付し忘れのないよう十分に注意する必要があります。 ほかにも、自営業者に限ったことではありませんが、自己資金の金額や他の借入状況なども審査されることは認識しておきましょう。

自営業者が住宅ローンを借りるためには、以下の6つのポイントを押さえることをおすすめします。

  • 事業実績を確保する
  • 節税のしすぎを避けて所得額を増やす
  • 自己資金(頭金)を多めに用意する
  • 適した金融機関・住宅ローンを探す
  • 既存の借入れを完済しておく
  • 他社の借入状況を確認する

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

住宅ローンの審査で自身の事業の安定性と継続性を示すためには、連続的な黒字の実績を確保することが大切です。目安の1つとして、連続3期以上の黒字が挙げられます。住宅ローンにおいては、一時的な黒字ではなく、安定した業績となっているかどうかが重要です。

なお、事業実績の確認方法は、金融機関によって異なります。具体的にどの程度の期間の黒字実績が必要なのかは金融機関によって異なるので、注意しましょう。

住宅ローンの審査を控えている場合は、節税のために所得を減らしすぎないよう気をつけましょう。前述のとおり、自営業者の場合は所得額が見られるため、節税のために経費を増やし所得を少なく抑えすぎると、評価が低くなる可能性があるためです。必要以上に節税しすぎないように注意しましょう。

自己資金を多めに用意すると借入額を減らせるため、返済負担率を下げられます。自己資金を増やし、借入額が高額になりすぎないよう、できるだけ抑えることがポイントです。返済負担率とは、収入に占める年間の返済額の割合のことで、返済比率といわれることもあります。返済負担率が低いほど、無理のない返済がしやすくなります。

日頃から取引のある金融機関へ相談するのもおすすめです。取引のある金融機関であれば、すでに事業実績などを把握しており、手続きがスムーズに進みやすいことや、担当職員がいれば相談しやすいといったメリットがあります。

マイカーローンやカードローンなどほかの借入れがある場合は、できるだけ完済しておくことをおすすめします。返済負担率の計算には住宅ローンだけでなくほかの借入れも含まれるので、完済すれば返済負担率を下げられるためです。

複数の借入れがある場合は、カードローンなどの金利の高いローンや、毎月の返済額が大きいローンを優先的に返済するとよいでしょう。

他社で借入れがあり、残高や返済状況が心配な場合は、事前に個人信用情報機関へ開示の申込みを行い、確認しておきましょう。適切な確認と準備を行うことで、不要な不安を解消し、審査をよりスムーズに進めることができます。

住宅ローンの審査では、金融機関が個人信用情報機関に照会を行い、申込人のローンやクレジットカード等の契約内容とその返済状況の履歴を確認します。ローンやクレジットカードの支払いを滞納した履歴がある場合、審査が通りにくくなるだけでなく、希望の条件で借り入れができなくなる可能性があるので注意してください。 信用情報の開示の申込みは、個人信用情報機関を通じて、インターネットや郵送で手続きできます。手数料は必要ですが、審査前に自分の情報を把握しておくことで、不要な不安を減らせるでしょう。

自営業者が住宅ローンを検討する際には、さまざまな疑問やわからないことがあるものです。なかでもよくある質問について回答していきますので、疑問解消のために役立ててください。

自営業者は、要件を満たせば住宅ローン控除を受けることは可能です。

ただし、住宅と店舗を兼ねている場合は注意が必要です。住宅ローン控除を受けられる要件の1つに「住宅の床面積が50平米以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を居住用として利用していること」があるためです。 つまり、事務所部分の床面積が50%を超えてしまうと住宅ローン控除は適用できないことになります。住宅と事務所を兼ねている場合は特に、住宅ローン控除の適用要件を十分に確認しましょう。

参照:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」

なお、住宅ローン控除については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

「収入合算」や「ペアローン」を利用することで、配偶者などの収入を合算して住宅ローンを組むことが可能です。いずれの方法でも、借入可能額を増やせる可能性があります。

収入合算とは、申込者本人だけでなく配偶者や親族などの収入を合算してローンを組む方法です。

一方でペアローンとは、夫婦ともに一定の収入がある場合、それぞれが住宅ローンを契約する方法です。ただし、借入額が同じ場合でも諸費用が高くなることや、いずれか一方の収入が大きく減った場合に返済できなくなる可能性があることなどに注意が必要です。 収入合算とペアローンについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。

個人事業主・フリーランスは住宅ローンを借りられるので金融機関に相談しよう

個人事業主・フリーランスといった自営業者は、要件を満たせば住宅ローンを借りることは可能です。

審査では、事業が黒字であるか、税金や保険料に未納がないかなどが確認されます。審査を通過するために、事業の黒字化や自己資金の準備、ほかのローンがある場合には完済しておくなど、事前に十分な対策を取ることが大切です。

全国の信用金庫では、自営業者の方の住宅ローンのご相談にも対応しています。お近くの信用金庫の窓口まで、お気軽にお問い合わせください。

執筆 木内菜穂子

金融機関や税理士事務所での勤務を経て、現在は金融・保険ライターとして執筆活動を行う。主に公的年金制度や社会保障制度、生命保険、NISAなどの情報を発信中。難しいお金の話を分かりやすく伝えることをモットーとする。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、一種外務員資格、年金アドバイザーの資格を保有。

監修 水野崇

CFP/1級FP技能士。東京理科大学卒業。中学、高校、大学、専門学校で金融経済教育を行うほか、テレビ朝日、BSテレ東、TOKYO MXの番組に出演。NHKドラマ「3000万」家計監修。「水野総合FP事務所」代表として、相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など幅広く活動している。
【URL】https://mizunotakashi.com/

  • 本コンテンツは一般的な情報提供を目的としたものです。
  • 各記事の掲載時点で信頼できると判断した情報源を基に作成したものですが、その内容および情報の正確性と完全性を保証するものではありません。
  • また、今後予告なしに変更されることがあります。